ほう。君は狐つきの説を信ずる組かね。はははは」
「いやそうじゃありません。第一、あの十二人のうちには海軍軍人が二人いるのですよ。列車から下りたばかりの海軍軍人は、青い怪物事件のあったことも知らないのですし、また話を聞いたとしても、あんなことで海軍軍人ともあろう者が、神経衰弱になろうとは思われません」
「それはそうだ」と室戸博士はいった。しかし熱のない返事であった。そこで帆村はまたいった。
「それに、青い怪物事件のあったのは、この町です。白根村は隣村です。この町の者が神経衰弱にならないのに、白根村の者が神経衰弱になるのは変ではありませんか」
「じゃ君は、あれをどう解釈しているのか」
室戸博士の質問に、帆村は黙って下をむいた。やがて呻《うめ》くような帆村の声が聞えた。
「……あれこそわれわれ地球人類に対して、恐るべき第二の警報だと思うのです。われわれはすぐ立ち上らねばなりません」
新しい手懸《てがか》り
「はははは。帆村君。君もすこし体をやすめてはどうかね。この間から、ずいぶん心身を疲らせているようだから、君まで神経衰弱になっては困るよ」
特別刑事調査隊長の室戸博士は、白い髭
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