入れてやると、元気になって泳ぎ出すようなものです」
「なるほど、それであの怪物は生きかえったのですか」
「そうだろうと思うのですよ。これは想像です。たしかにそうであるといい切るためには、われわれは、もっとりっぱな証拠を探し出さねばなりません」
「すると、帆村君は、その証拠をまだ探しあてていないのかね」
「そうです。今一生けんめい探しているのです」
「しかし、そんな証拠は、見つからない方がいいね」
「えっ、なぜですか」
「だって、そうじゃないか。その証拠が見つかれば、僕たちは今まで知らなかったそういうものすごい怪物と、おつきあいしなければならなくなる。それは思っただけでも、心臓がどきどきしてくるよ」
「しかし、ねえ次長さん。あの青い怪物とのおつきあいは、あの坑道の底で死骸を発見したときから、もう既に始っているのですよ」
「えっ、おどかさないでくれ」
「おどかすわけではありませんが、あの怪物の方が進んでわれわれ地球人類にたいし、つきあいを求めてきているのですよ」
 帆村の言葉に、聞いていた一同は、ぶるぶるとなって、たがいの顔を見合わせた。
「これからあんな怪物とつきあうのはたまらないな。な
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