んな発育をするでしょうか。またそれと反対に、人間が成層圏機や宇宙艇にのり、地球を後にして、天空はるかに飛び上っていくときには、ますます強いたくさんの宇宙線のために体をさしとおされるわけですから、そんなときには体にどんな変化をうけるか、これも興味ある問題ですねえ」
「その問題はどうなるのかね」
と、若月次長がきいた。すると帆村は首を左右にふって、
「まだ分かっていません。今後の研究にまつしかありません」
「宇宙線というやつは、気味のわるいものだな」
「そういろいろと気味のわるいものがふえては困るねえ。あの青いとかげのような怪物といい、宇宙線といい……」
「帆村さん、あの青い怪物と宇宙線との間には、どんな関係があるのですか」
と、また一人がたずねた。
「さあ、そのことですがね。あの怪物は宇宙線を食って生きている奴じゃないかと思うのです。つまり地底七百メートルの坑道の底には、宇宙線がとどかない。そのとき彼奴《あいつ》は死んでいた。それを地上へもってあがると生きかえった。地上には宇宙線がどんどん降っているのです。ちょうど川から岸にはねあがって、死にそうになっていた鯉《こい》を、再び川の中に
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