ちてきたのですかね」
次長は、背の高い帆村の顔を下から見上げるようにして聞いた。
「はははは、それがわかれば、このふしぎな事件の謎は立ちどころに解《と》けてしまうのですよ。だが、それを解くことは容易なことではない。もっと深く調べてみなければなりません」
帆村は、むずかしい顔になっていった。
「わかった。この間敵機が五百何機も来て、大爆撃をやりましたね。あのとき竪坑の天井もうちぬかれたのです。あの爆撃のとき、敵機に乗っていた搭乗員が、機上からふり落されて、ここへ落ちこんだのではないでしょうか」
そういったのは少年鉱員の山岸だった。
「それはいい説明だ。帆村君、どうですか」と、次長は山岸に賛成していった。
「ちがいますよ。あの爆撃のあった翌々日に、大雨が降ったでしょう。この怪物が落ちてきたのは、あの大雨のあとのことです」
「それはなぜですか」
「やはり、よくこのあたりの土を見ればわかります。大雨のあと、このあたりに水がたまり、それから後に水は地中へ吸いこまれたのです。そのあとでこの怪物は上から落ちてきたのです。その証拠には、怪物の身体は、雨後の軟《やわらか》い土を上から押しています。
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