流れるかわりに、ミミ族の体から精巧な金属製の部品が取りはずされてならべられた。だから、すこしも血なまぐさい感じがしなかった。
「じつに巧妙にできた機械人体だ」
 と、帆村は所員の顔を見まわして言った。
「しかしミミ族は、単なる機械人体ではない。この機械人体を動かしているものこそ、ミミ族の正体だ。つまりミミ族の正体は、もっとこの内部にあるのだ。さあ、さらに解剖をつづけよう」
 所員は、ドリルを取り上げ、酸水素高温焔器の焔《ほのお》を針のように細くし、さらにミミ族の解剖を奥へ進めた。
 やがて愕《おどろ》くべきことがわかった。
「ほら、体の中は、がらん洞《どう》ですぞ」
「がらん洞。やっぱりそうか」
「がらん洞ですが、細い電線みたいなものが、網の目のように縦横に走っています」
 帆村は、この発見にもとづき、別のミミ族を引きだして、これを高速鋼の回転|鋸《のこぎり》にかけて、唐竹割《からたけわり》に頭から下まで、縦に二つに割ってみた。二分された緑鬼の体は、二隻の舟のように見えた。なるほど内部はがらん洞であった。そのがらん洞の中に、細い電線のようなものが、網の目のように入りみだれて走っているが
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