少年は、うっすりと目を開いた。
「おいっ、おれの体を起してくれ。操縦席へいくんだ。早くいって、処置をやらにゃ、本艇は空中分解するぞ」
「ええっ、それは……」
 山岸少年は、若いだけに身も軽く、また悲観することも知らず、兵曹長にいわれたとおり彼を助け起した。
 二人は、もつれながら操縦席へいった。兵曹長は片手をのばして操縦桿をつかんだ。それから力をこめて、ぐっ、ぐぐっと桿を手前へひっぱった。
 艇は妙なうなりをあげはじめた。すると速力計の針は逆に廻りだした。速力がだんだん落ちてきたのである。それとともに、竜造寺兵曹長も、山岸少年も気持がよくなった。艇は水平にもどったのである。
「しっかり、しっかり。気をしっかり……」
 兵曹長は、山岸中尉と帆村とを起した。二人とも、ようやくわれにかえった。
「機長。いま、水平に起しました。それまでは艇は急落下しておりました」
「ああ……」
「どこかに穴があいているようです。室内の気圧がどんどん下っていきます」
「ああ、そうか。これはすまん」
 帆村が横合から声をだした。彼は計器のスイッチをぱちぱちと切りかえて、指針《はり》の動きに気をつけた。その結果、
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