まだに宇宙をふらふら迷子になってとびまわっているという、きみょうな星なのさ」
カロチ教授の話は、じつにかわった話であった。感心してしまったポコちゃんは、声も出ないで教授の異様な顔を見つめている。その教授は、話をするとき手をさかんに動かす。ことに第三の手――つまり背中からはえている手を、風に吹かれているのぼり[#「のぼり」に傍点]のように休みなく頭の上や顔の前に動かして語る。
「それはそれとして、われわれ星人のことだが、今もいったように、われらの先祖は約三十万年前に地上へ姿を現した。君たちより約五万年は早いわけだ。われわれの先祖が出る前は、海にすんでいたんだ。われらの先祖は海からはいあがって、陸上で生活するのを主とするようになった。そのころ、われわれにはこの第三の手が出来ていたんだ。これは背びれ[#「びれ」に傍点]から進化して、こんな手になったんだよ」
そういってカロチ教授は、第三の手を伸び縮みさせながら、おもしろそうに動かしてみせた。そしていった。
「君たちは、こんな便利な手を持っていないので、まことに気のどくだね」
ポコちゃんは、かえすことばもなく、カロチ教授の前にすくんでいる
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