い。わがジャンガラ星人なら、みなそうなんだ。われわれは地球人の知能のあまりにも低いのに深く同情する」
「な、なアるほど」
 ポコちゃんは小さい目をぐるぐるまわして消えてしまいそうであった。ジャンガラ星人はたしかに地球人類よりずっと高等生物らしい。「人間は万物の霊長《れいちょう》だ」などと、いばっていたのがはずかしい。


   迷子星自伝《まいこぼしじでん》


 カロチ教授が手を貸してくれて、ポコちゃんをささえながら、歩き方をおしえてくれた。そのおかげで、ポコちゃんは、ようやく滑らないで歩けるようになった。
 教授は、ポコちゃんに散歩をすすめた。散歩をしながら、知りたいことをたずねてよろしいということだった。
「あなたは、まさか地球へ来られたことはないんでしょうね」
 おばけの草花の林にそって、ポコちゃんは教授と歩きながら、ふとそのことをきいた。
「そうだね、わしが地球旅行をしたのはわずか十四五回ぐらいのもんだ」
「ええっ、なんですって、十四五回も地球へおいでになったんですか」
 ポコちゃんは、おどろきのあまり、自分の心臓がとまったように感じた。
「そのうち、日本を通ったのが三回だと
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