げるよ。千ちゃん、きみみたいに前からしんぱいばかりしていたら、ますますきみの顔が青くなってヘチ……いや、ごほん、ごほん」
「なんだって。ヘチがどうしたって。その下にもう一字くっつけたいんだろう」
「マあいいや。ごほん、ごほん」
「あっ、とうとういったな、こいつ……」
カモシカ号出発
二人ののりこんだ宇宙艇カモシカ号は、ついに地球をけって、大空へ向けてとびあがった。
時刻《じこく》は午前五時十五分。場所は東京新星空港だ。
すばらしいカモシカ号の雄姿《ゆうし》!
流線型の頭をもった艇の主体。そのまんなかあたりから、長くうしろへむけてひろがっているこうもりのような翼《つばさ》が三枚。艇のぜんたいは螢光色《けいこうしょく》にぬられていて、目がさめるほどうつくしい。尾部《びぶ》からと、翼端《よくたん》からと、黄いろをおびたガスが、滝のようにふきだし、うしろにきれいな縞目《しまめ》の雲をひいている。そしてぐんぐん空高くまいあがっていく。
そのカモシカ号の艇の内部をのぞいてみよう。
(テレビジョンじかけで、艇のもようは、たえず地上へ向けて放送されている)。
艇のまるい頭部の
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