顔をかたくすると、
「ポコちゃん、あれを見ろ。外を見るんだ」
とさけんで右手で外を指さしたが、その手をただちにパネルへもどして、操縦席にあかあかとついていた電燈を消した。
たちまち二人のまわりはまっくら。
千ちゃんはなぜ電燈を消したのだろうと思いながら、ポコちゃんは艇外へ目をやった。
外は墨《すみ》をぼかしたようなまっくらな空。銀河が美しい。
と、とつぜん、上の方からすぐ目の前におりてきた大きな赤い火の玉!
みるみるうちにその火の玉は、まぶしいばかりにもえあがって下界の方へ。
ガガガンの音はそのとき起った。
「何だろうね、今のは……」
ポコちゃんは、青くなってさけんだ。
「いん石がもえながら飛んでいるんだ」
くらやみの中に千ちゃんのこえがひびいた。
危機脱出
「へえっ、あれが、いん石かい。すごいなあ」
あまりものにおどろいたことのないポコちゃん川上少年も、艇外をひゅうひゅうととびかう鬼火のような、いん石群には、すっかりきもっ玉をうばわれた形であった。
そのとき操縦当番の千ちゃん山ノ井少年は、ポコちゃんに答えようともせず、前のテレビジョンの映写幕面をに
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