らとびこんでいったのです。
 塩田大尉をはじめ、小浜兵曹長や帆村探偵も、みな無事に艦隊へ帰りました。そこには一彦少年が、勇士たちの帰りを待ちかねていました。そしてみなみな元気で凱旋《がいせん》の途につきました。
「ねえ、帆村おじさん、なぜ大利根博士は、怪塔王になったりして悪いことを働いたんだろうねえ」
 一彦少年は、甲板の上から、白骨島におわかれをしながら、帆村にたずねました。
「あれはね、こうなんだよ。大利根博士は、今世界をひっくりかえそうと企んでいる秘密結社の一員だったのだ。日本のためには、全くあぶないところだったよ」
 といって、探偵は大きな溜息をつきました。



底本:「海野十三全集 第6巻 太平洋魔城」三一書房
   1989(平成元)年9月15日第1版第1刷発行
初出:「東日小学生新聞」東京日日新聞社
   1938(昭和13)年4月8日〜12月4日
入力:tatsuki
校正:kazuishi
2007年1月5日作成
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