ではないか」
小浜兵曹長はあざ笑いました。彼がいま小脇にかかえて、怪塔王に向けているのは、怪塔王秘蔵の殺人光線灯でありました。この殺人光線灯は、かねて帆村がその在所《ありか》をさがしておいたものです。このたびはこっちが失敬して、逆に怪塔王の胸にさしつけたというわけです。
ピストルも小銃も、一向に恐しくない怪塔王ではありましたが、この殺人光線灯を見ると、まるで人間がかわったように、ぶるぶるふるえだしました。それもそのはず、殺人光線灯がどんなに恐しいものであるかは、それをこしらえた怪塔王が一番よく知っているわけですから。
怪塔王は、(困ったなあ。たいへんなものを、盗まれてしまった!)と、歯ぎしりをしましたが、もう間にあいません。
小浜兵曹長は、ゆだんなく殺人光線灯の狙《ねらい》を怪塔王の胸につけ、もしもうごいたら、そのときは引金をすぐ引くぞというような顔をしています。
「そこで、怪塔王どの」
帆村は、横の方から怪塔王のそばに一歩近づきました。
2
「そこで怪塔王どの」
と帆村に呼びかけられ、怪塔王は額ごしにおそろしい目をぎょろりとうごかし、
「なんだ、帆村。お前た
前へ
次へ
全352ページ中290ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング