人はそればかり考えています。
ごとん。
かすかに床がゆれて、うごいていた部屋はぴたりととまりました。
「ああ、とまった」
「うむ、とまったね」
二人は、目を見あわせ、ほっと溜息《ためいき》をつきました。なんという思いがけないからくりが仕掛けてあったことでしょう。
「こんなエレベーターみたいな仕掛が、はやっているのでしょうかねえ」
少年は、ふしぎでたまりません。
「さあ、どうだか、それは――」
とまごついた大尉は、そのときになに思ったものか息をのみ、
「おう、あんなものがうごきだした。一彦君、君のうしろの、機械戸棚がうごいているよ」
「えっ」
一彦がふりかえってみると、おどろきました。顕微鏡や気圧計などいろいろの理化学機械のはいった戸棚が、しずかに横にすべりつつ、壁の中にはいっていくのでした。
二人は息をころして、ひとりでにうごいていく戸棚を見つめていました。
戸棚のうごいていった後には、意外にも、一つの扉があらわれました。地下室の怪!
4
大利根博士邸の実験室が、塩田大尉と一彦少年とをのせて、まるでエレベーターがさがるように、すうっと下におちていったのさ
前へ
次へ
全352ページ中210ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング