くうって、相手の飛行機や軍艦がどうかならぬはずはない。たちまち赤い焔《ほのお》をあげてとけだすとか、うまくいけば、一ぺんに爆発するとか」
「あっ、困った。敵機がすぐそばまでやってきたそうです。いよいよ死ぬか生きるかの戦闘をはじめます。報告はあとからにいたします。ちょっと無電をきります」
「よし、しっかりやれ。わしは懸賞を出そう。飛行機を一機おとせば、二千円やる。軍艦なら一隻につき一万円だ」
その返事は、ありませんでした。副司令は、日本軍と戦闘をはじめたのでしょう。どうなるのでしょうか。戦に勝つか負けるか、怪塔王は気が気でありません。
「ちょっと至急、おいでをねがいます」
とつぜん耳もとで、ルパシカ男の声がしました。
「なんだ。モーターをこわした悪者をひっとらえたか」
「いや、そうではございません。あのう、縛っておきました小浜兵曹長がおりません」
「なんだ、あの日本軍人がいないのか」
「それからもう一つ、驚くべきことがございます」
5
「もう一つのおどろくべきことって、それは一体なんだ」
怪塔王は、かみつくような顔をして黒人にききました。
「はあ、それは――それは第三機械筒の中につないでおいた帆村探偵がいなくなったのでございますよ」
「えっ、帆村が、第三機械筒の中にいないって。それじゃ第三機械をうごかす者がいないではないか」
「はあ、そうでございます」
「そいつは困った。なにもかもめちゃくちゃだ。このロケットは死んでしまったも同じことだ。戦を目の前にして、とびだせないなんて、こんな腹立たしいことがあろうか」
怪塔王は、どすんどすんとじだんだをふんでくやしがりました。
この話によると、帆村探偵はこの怪塔ロケットの第三機械筒につながれ、その機械をうごかす役をあたえられていたことがわかります。これは勿来関の上空で、わが海軍機と戦っているうちに黒人の一人が死んだのです。そこでその黒人にかわり、かねて捕えられていた帆村荘六がむりやりに第三機械筒の中に入れられ、その機械をうごかす術をむりやりに教えこまれたのでありました。
かしこい帆村は、筒の中につながれていると見せかけ、じつはいつの間にか筒を自由に出入りできる身になっていたのです。
小浜兵曹長を海底牢獄からすくいだしたのも彼ですが、兵曹長を山の上にかくしておいて、その夜また行くつもりでいたところ、怪塔
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