す。
 この司令室は、怪塔の三階の一隅《いちぐう》にありました。
 怪塔王は、司令室にただひとり、じっと地図をみています。
 その地図は、どこの地図だったでしょうか。ほかでもありません。日本を中心とする太平洋の大地図でありました。
 怪塔王は、たいへんうれしそうな顔をしています。
 地図のうえで、日本のまわりを指さきでぐるぐるなでながら、
「うふん。いよいよこの辺が、こっちのものになるというわけだ。するとあとはもうおそろしくない国々ばかりだ」
 怪塔王は、肩をゆすって、うふうふうふと気味のわるい笑い方をいたしました。
 この司令室は、まるで電話の交換室のようになっていまして、この怪塔ロケット内のすべての機械の末端がここに集っていますから、この室にすわってさえいれば怪塔を自由にあやつることができるのでありました。いや、この怪塔内ばかりではなく、他のロケットも同様にあやつることができます。つまりいま怪塔王は、その司令配電盤を前にして、地図を見ているのでありました。なかなかうまく出来た司令配電盤でありました。そしてまた、これが怪塔王の心臓のように大事な機械でありました。
 ずずずずず。
 とつぜん警鈴がひびき、赤い注意灯がつきました。それは怪塔王のところに、無電がかかって来たのをしらせているのです。
 怪塔王は、受話器を手にとりました。
「おう、お前は監視機百九号だね。何用か」
「はい、監視機百九号です。いま小笠原《おがさわら》附近の上空を飛んでいますが、はるかに北東にむかって飛行中の空軍の大編隊をみつけました」
「なんだって、今ごろ空軍の大編隊が北東にむかっているとは――」

     2

 空軍の大編隊が、北東にむかって飛んでいるという無電に、司令室の怪塔王はびっくりしました。
 怪塔王は、その無電をかけてきた監視機にむかって、
「おいもっとくわしく知らせろ。どこの飛行機か。そして機数は?」
 すると返事があって、
「さあ、どこの飛行機か、よくわかりません。じつは、はじめからそのことが気にかかっていたのですが、電子望遠鏡でのぞいても、飛行機にはどこの国のマークもついていないのです。じつに怪しい飛行機です」
「マークがついていない飛行機か。はて、それは怪しい」
 怪しい怪塔王が怪しいなどというのです。どっちが怪しいか、おかしいことです。
「おい、飛行機のかっこうから考
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