た愛機の中に、まだ無電装置だけは壊れずにあったことをおもいだしましたので、それを使って至急艦隊へ知らせようと、踵《くびす》をかえして、のこぎり山をかけおりました。
 どんどん走って、壊れ飛行機の上にとびのり、無電装置をいじってみますと、天のたすけか、うまく働くではありませんか。
 兵曹長は、しきりに艦隊の無電班によびかけました。すると、ひょっくり応答がはいってきました。
「おお、小浜兵曹長からの無電だ。小浜はもう海中に墜《お》ちて死んだかとおもっていたのに、ちゃんとこっちを呼んできたぞ」
 無電班は、おどろいたり、よろこんだり。

     5

 孤島から、小浜兵曹長がうった無電は、艦隊無電班をたいへん驚かせました。
 それから双方はしばらく、無電をさかんに打ちあいました。
「貴官は今、どこにいて、なにをしているのか」
 と、小浜兵曹長にたずねますと、
「自分は怪塔を見失い、嵐の中をむちゃくちゃにとびまわり、ついに無人島らしきところに不時着し、翼を折った。もう飛行機は飛べない。しかし身体には異状がないから、安心を乞う――応援に出動したという知らせのあったわが飛行隊はどうしたか」
 と、小浜兵曹長は答え、また問いかけました。
「わが出動飛行隊は、暴風雨にさえぎられ、ついに怪塔ロケットにもあわず、貴官の飛行機にもあわなかった――その孤島は何処《どこ》かわかるか」
「わからない。しかし自分は大変なものを発見した。この島に、のこぎりの歯のような形をした山がある。この山の西側に、大飛行場があって、そこに怪塔ロケットが七八機集っている。だからこの島は怪塔ロケットの根拠地だと思う。はやくこのことを塩田大尉に知らせてもらいたい」
 すると、無電班ではたいへん驚いたようでありました。しばらく答はなく、小浜兵曹長は、無電が故障になったかとおもったくらいでありました。
 そのうちに、艦隊からの無電が、また聞えてきました。
「貴官の報告は、じつに重大なものであった。貴官のいる孤島の位置を知りたいから、これから五分間つづけて電波を出してもらいたい。こっちでは、その電波を方向探知器ではかって、位置をきめるから。とにかく貴官は貴重なる偵察者であるから、大いにそこにがんばっていてもらいたい。では、早速《さっそく》五分間つづけて電波発射をたのむ」

     6

 小浜兵曹長は、愛機の無電装置を
前へ 次へ
全176ページ中118ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング