「ところが、ここに居ります一彦少年は、私とちがった考をもっております。少年の口から、ぜひおききをねがいたいのであります」
 塩田大尉は、かたわらに腰をかけている一彦の方をふりかえった。
「なに、この少年がちがった考をもっているというのか。それはぜひ聞かせてもらおう」
 司令官も、一彦が帆村探偵の甥《おい》であることは、よく知っていました。この少年が、なにをいいだすやらと、急に顔をにこにこさせて一彦をながめました。
「僕は、大利根博士がたいへん怪しい人物だと思います。なぜといえば、博士邸には怪しいことだらけです」
「怪しいことだらけとは――」
「まず第一に、博士の実験室がエレベーターのように上下に動きます。これと似た仕掛が、怪塔の中にもありましたよ。帆村おじさんと僕とは、その仕掛のために、檻《おり》の中に入れられて、一階下へ落されたことがありました」
「怪しいことがあるなら、どんどんいってごらんなさい」
 司令官は、熱心な面持で、一彦をせきたてるようにいいました。
「第二は、この猿の鍵です」
 一彦は、ちゃりんと音をさせて、テーブルの上に大きな鍵を出しました。

     3

「なに、猿の鍵?」
 司令官は、その大きな鍵を手にとって、ふしぎそうにながめ、
「第二に、この鍵が怪しいとは」
「そうです、博士邸の一番おくにある秘密室は、その鍵であいたのです。ところが、その猿の鍵は、怪塔王が大事にしてもっている鍵なのです。あの怪塔の入口をあけるのは、やはりこの鍵でないとだめなのです」
 と、一彦は自分の信じているところをすらすらとのべました。
「で、それがどうしたというのかね」
「はい、司令官閣下。僕が今あげたように、怪塔と博士邸とは、たいへん似たところがあるのです。ですから、怪塔王と大利根博士とは――」と、ちょっと言葉をとどめ、「同じ仲間ではないかとおもうのです」
「えっ、怪塔王と大利根博士とが、同じ仲間だというのか。それはどうもとっぴな答だ。あっはっはっ」
 司令官は、思わず笑いました。
「でも、そうとしか考えられませんもの」
「しかしだ、一彦君。博士は、われわれの尊敬している国宝的学者だし、それにひきかえ怪塔王は、わが海軍に仇《あだ》をなす憎むべき敵である。その二人が同じ仲間とは、ちと考えすぎではあるまいか」
「でも、そうとしか考えられませんもの」
 一彦少年は、
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