ぴちんと鳴らした。
「きょうはひとつわしがギンネコ号へでかけて、れいの空間浮標の件をかたづけてしまう。帆村君、きみもついてきてくれ」
なにも知らないテッド博士は、そんなことをいって、きげんがよかった。その日こそ、じつは驚天動地《きょうてんどうち》の一大事件が救援艇隊のうえに襲いかかろうとしているのに、まだ誰もその運命に気がついていないらしい。あぶない、あぶない。
宇宙線レンズ
ギンネコ号の事務長テイイは、じぶんの机のまえで、うつらうつらしていた。昨夜らいのガスコ氏いや、いまではスコール艇長のもってきたふるまい酒をのみすぎて、ねむくてたまらないのだった。
「事務長。ちょっとこっちへきてもらいたいね。相談したいことがある」
いきなり戸があいて、ひげだらけの老人がはいってきた。スコール艇長だった。
「はい。ただ今」
事務長テイイは、ともかくもへんじだけをして椅子からとびあがったが、よろよろとよろけて足を机の角《かど》でうって、ひっくりかえった。
「事務長。だらしがないね。きょうはさっそく重大行動をとらねばならないのに、そんなふらふらじゃ困るね。よろしいわしがすぐなおして
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