なかった。
三十分もしてから、やっとギンネコ号からの返事がきた。
「本艇は、有力な資料をほとんど持っていない。貴隊から使者のくるのはさしつかえない。ただし五名は多すぎるから、三名にしてもらいたい」
この返事を記した受信紙の周囲にあつまった若い者は、ギンネコ号の無礼にふんがいし、こちらから送る使者のかずに制限をくわえるのはどういうわけかと、ねじこもうと叫んだ者もあったほどだ。だがこれもテッド隊長のことばによってようやくしずまって、それから三名の使者の人選が発表された。
それによると、第一は副隊長のロバート大佐、第二にポオ助教授。この人は、『宇宙の女王』号の艇長であるサミユルの門下生のひとりだ。それから第三に、みんなを意外におもわせたが、帆村記者がえらばれた。
これを聞いた三根夫少年は、帆村荘六の横《よこ》っ腹《ぱら》をつっつき、
「おじさんはいいなあ。うらやましいなあ」
といったが、帆村は笑いもせず怒りもせず、無神経な顔つきで、首を微動もさせなかった。
「それではこれから三名にでかけてもらおう。なにかお土産《みやげ》を持っていってあげたがいいね。新聞と雑誌と、それから果物をいく
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