た。
そのあぶないお客さまは、ただちに艇外に放りだされた。それは木箱にはいっていて、機械の部分を入れた箱のように見えた。もう五分間探しあてるのがおそかったら、司令艇は六号艇とおなじ運命におちいったことであろう。じつにあぶないところであった。
社会事業家ガスコ氏
艇内捜査と時限爆薬のかたづけがすんだあとで、艇長テッド博士は、数名の幹部とゲーナー少佐と、そのほかに特別に帆村荘六を招いた。
「集まってもらったのはほかでもないが、さっきの時限爆薬事件だ。なぜあんなものがかくされていたか、これについて諸君の意見を聞かせてもらいたい。じつにこれはにくむべき陰謀事件であるからねえ」
そこで一同は、あの事件のてんまつを復習し、そしていろいろと意見をのべて、事件の奥に何者がかくれているかを探しだそうとした。
「出航のまえに、じゅうぶん調べたんだがなあ。まったくふしぎだ」
「密航者しらべをしたときに、怪しい品物がまぎれこんでいるかどうか、それもいっしょに厳重にしらべるよう僚艇に伝えたんですがねえ」
「もし、そういう品物がまぎれこんだとすれば、それはやはり出航のすぐまえのことだと思います
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