へん》によって、不幸にも漂流器をこわされ、あるいは身体に致命傷《ちめいしょう》をうけた人びとだった。
その救助のときはそうかんだった。
九台の僚艇は、全部が六号艇の遭難現場のまわりに集まってきて、四方八方から六号艇のほうへ強力なる照空灯で照らした。あたりは光りの海と化した。六号艇からふきでる火災の煙が、地上の場合とははんたいに、照明をたすけた。顕微鏡で見たみじんこ[#「みじんこ」に傍点]のような形をした空間漂流器が、明かるく光る。それを目あてに、救助作業がはじまったのだ。
しかし六号艇が爆発して飛び散ったときには、みんなひやっとした。それは破片がとんできてじぶんの艇をぶちこわしはしないだろうかと、きもをひやしたのだった。だがさいわいにも、それによる損傷はなくてすんだ。
ゲーナー少佐は、司令艇に救助された。
救援隊長のテッド博士は、少佐をむかえて、しっかり抱きしめた。
「けがはないのかね」
「たいしたことはないです」
「ほう。やっぱりけがをしているんだね。ドクトル、手当をたのみます」
医局長がすぐに手当にかかった。両手と左脚をやられていた。手のほうは火傷《やけど》だ。
「隊長
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