、そうか。これは気をつけないといけない」
といって、顔色を白くした。
「やっぱり悪人がいるんですか」
「うむ。ミネ君にいわれて気がついたんだが、六号艇の爆発した中心部だね、その中心部の位置を考えると、どうしても自然爆発が起こったとは思われない。あそこはぜったい安全な場所だった。……だから、時間の関係から考えても、これは時限爆薬《じげんばくやく》で爆発させられたものと見て、まずたいしたまちがいはないだろう」
さすがは名探偵だ。
爆発がどの場所に起こったかを見落としはしなかった。そして爆発の場所から考えて、それは自爆でなく、他人の陰謀によってこの大惨劇《だいさんげき》がひきおこされたことを推理したのだ。
このことは、あとに六号艇の艇長ゲーナー少佐が救助されたけっかはっきりした。
空間漂流器に身体をまかせて、極寒《ごっかん》のまっくらな空間をあてもなくただよっていた六号艇の乗組員たちは、六名の犠牲者をのぞいて、全部僚艇に助けられた。
そのうちの一名は、みずから艇とともに運命をともにした倉庫員のモリであり、他の五名は、六号艇が爆発したとき、すごい勢いでまわりに飛び散った艇の破片《は
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