たのであるから、サミユル博士のたのみに応じないわけにいかなかった。
 テッド博士は、英断をくだした。
「よろしい。先生のところへ、わが貯蔵量のはんぶんをさしあげましょう。しかし大急行で、ここからはこびだすのでないと、まにあわないかもしれませんよ」
 そのとおりであった。あたりの空気をやぶって、爆発音がしだいに間隔《かんかく》をちぢめて、どかーンどどンと、気味のわるい音をひびかせ、艇は波にもまれているようにゆれた。
「ありがとう、テッド君。わたしは感謝のことばを知らない。わたしは、わが乗組員にたいして」
「いや、先生。お礼をおっしゃるよりも、一分間でもはやく燃料をはこぶことですよ。わたしのところからも運搬作業に十名をお貸ししましょう」
「なにから何まで。……しかし、じつは脱出に成功する自信はほとんどないのだがねえ」
 サミユル博士は顔を曇《くも》らせた。
「運と努力ですよ、先生。われわれは天使のようにむじゃきに、そして悪魔のごとく敏捷《びんしょう》でなくてはならないのです。うたがいや不安や涙はいまは必要でないのです」
「そうだったね。わたしはきょうはことごとくきみから教えられた。師と弟子
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