とは。
「うわーッ。地球だ。なつかしい地球だ。これはどうしたというんだろう!」
 三根夫は感激のあまり、とうとう大きな声をだしてしまった。
 ハイロが、あわてて三根夫のそばへかけよったが、それはもうおそすぎた。


   意外な相手


(しょうがないねえ。だから、あれほどやかましくいっておいたじゃありませんか)と、いいたげに、ハイロは三根夫の口をおさえつけ、そして三根夫の腕をしっかりつかまえて、いそいで階段をおりようとするのであった。三根夫は、なつかしい地球に見とれていて、その場を動くのがいやらしい。
(だめですよ。いまのうちに、さっさと逃げださないと、いまのあんたの声を聞きつけて、武装した監視隊員が逃げ路をふさいでしまいますぜ)
 ハイロは、そういいたい気持でいっぱいだった。ぎゅうぎゅうと力をこめて、三根夫を階段のおり口へひっぱっていこうとする。
「こらッ、何者だ。そこ動くな」
 とつぜんひとりの大きなガン人が姿をあらわして、三根夫をつかまえた。
「しまった」三根夫は舌うちをした。それが、いっそういけなかった。
「おや、おまえは地球人だな。地球人が、許可なしでこんなところをうろつい
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