すからね」
「そこは、何をするところなの、この国の」
「動力室です。つまりこの国を動かしているあらゆる力を発生するところです。操縦室もあります」
 なるほど、これは重要な場所だ。ふたりは、一階下へおりたが、まちがってこの階へおりたようなそぶりを見せ、五分ばかりでそこを引きあげ、上の階へもどった。
 しかし三根夫は、その短かい時間に、はっきり見た。すごいエンジンがずらりとならんで、ごうごうと動いていたことを、また一段高いところに、透明なガラス張りのような台があって、そこにはものものしい作業衣に身をかためたガン人が二十人ほど、複雑な機械の山のようななかにそれぞれの部署について、しきりに手をふり、身体を起こして機械を調整していた。そこが怪星ガンの操縦室にちがいなかった。なにしろすごい動力室であった。科学と技術の粋をあつめた大殿堂とでも、いいたいほどの大壮観であった。
「さっき見た大きなエンジンは、何を原動力にしているの」三根夫はハイロにたずねた。
「いまのところ、旧式だけれど原子力エンジンを使っていますがね。そのうちに、もっと能率のよいものに改造する計画があるんですって」
「へえ、原子力エン
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