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「それでは、これをたべなさい」と、青い飴玉《あめだま》のようなものを二つ、三根夫の手のひらにのせてくれた。
「これは、なあに」
「くたびれが、一ぺんにとれる薬です」
「それはありがたい。しかしこんなものを頭からすっぽりかぶっているから、たべられやしない。どうしたらいいかしらん」
「ははあン。それなら、わしの身体のかげで、そのかぶりものをぬいで、大急ぎでたべなさい」
「なるほど。それじゃあ頼みますよ」
三根夫は、ハイロのかげでガン人のお面を脱いだ。せいせいした。青い玉二つを口の中へほうりこみ、それからついでにと思って、お弁当に持ってきたパンをむしゃむしゃ。それから水をがぶがぶ。そして目を白黒しながら大急ぎで、お面をもとのようにすっぽり頭からかぶった。
「三根夫さん。どうです。身体が軽くなったでしょう」
「ああ、ほんとだ。さっきのくたびれが、どこかへいってしまった。よくきく薬だね」
三根夫は元気をとりもどして、ハイロについて名所見物をつづけた。
「もう一階下にあるところは、この国で一番重要な所なんです。ちょっと見るだけで、がまんしてください。何しろ監視の目が多くて、ひどく光っていま
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