でしょうね」
「おじいさん。あれが、さっきおじいさんがいった宇宙の猛獣使いなの?」
「そうじゃ。この間から、彼奴《きゃつ》がこのへんをうろうろしてやがるのじゃ。ひとの家の窓をのぞきこんだり、用もないのに飛行場のまわりを歩きまわったり、あやしい奴じゃ」
「なぜ、あの人が宇宙の猛獣使いなの。宇宙の猛獣て、どんなけだものなんですの」
「宇宙の猛獣を知らんのかな。アフリカの密林《ジャングル》のなかにライオンや豹《ひょう》などの猛獣がすんでいて、人や弱い動物を食い殺すことはごぞんじじゃろう。それとおなじように、宇宙にはおそろしい猛獣がすんでいるのじゃ。頭が八つある大きな蛇、首が何万マイル先へとどく竜《りゅう》、そのほか人間が想像もしたことのないような珍獣奇獣猛獣のたぐいがあっちこっちにかくれ住んでいて、宇宙をとんでゆく旅行者を見かけると、とびついてくるのじゃ」
「おじいさん。それはほんとうのこと。それとも伝説ですか」
「伝説は、ばかにならない。そればかりか、あのあやしい男はな、わしがこっそりと見ていると、ひそかに宇宙を見あげて、手をふったり首をふったりしておった。そうするとな、星がぴかりと尾をひ
前へ
次へ
全239ページ中18ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング