だした。はて何事が起こったのであろうか。


   怪獣《かいじゅう》南京《ナンキン》ねずみ


 どんな大事件が起こったのであろうか。このときばかりは、テッド隊長も青くなったし、帆村荘六さえ、まっさおになってしまった。
(しまった。さっきサミユル博士との秘密の会話が、怪星ガンの支配者に聞かれてしまったのかな。やっぱり目に見えない密偵がわれわれをいつも番していたんだな。秘密の話なんかして、よくなかった)
 ポオ助教授は、きょとんとしている。ケネデー軍曹は、服の中にしのばせたピストルへ手をのばした。三根夫少年は、どうしていたか。
 かれは椅子からさっとすべりおりると、ハイロがわめきさけんでいる奥へかけこんだ。
 すると、こんどは、またいっそうハイロのさけび声がはげしくなった。そして家具ががたんとたおれ、食器ががらがらとこわれるたいへんな物音がした。
「た、助けてくれ、助けてくれ」警報にまじって、ハイロのいまにも死にもうな叫び声がつづく。
「これはたいへんだ」テッド隊長は、ケネデー軍曹に目くばせをすると椅子から立ちあがって、三根夫のあとを追おうとした。
「お待ち、テッド君。ここが重大なとき
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