ぺんへほうりあげられた形だ。
「わかりました。サミユル先生。あなたがたもやはり捕虜生活をつづけていらっしゃるんですか」
「そのとおり」
「この怪星ガンの正体は、いったいどんなになっているものですかな」
「それは残念ながら、まだ知りつくすことができない。しかしわしたちのさっするところでは、人工の星ではないかと思う」
「人工の星とは?」
「天然の星ではなく、人力《じんりょく》というか何というか、とにかく現にこの怪星に住んでいる智能のすぐれた生物が、――あえて生物という、人間だとはいわないよ――その生物がこしらえたものじゃないかと思う」
「だって、この大きな星を人工でこしらえあげるなんて、できることでしょうか」
「われわれ地球人類の想像力の範囲では、とてもこの怪星の秘密を知りつくし、解きつくすことはできないであろう。われわれは一つでもいいから、じっさいに存在するものを観察して、その上にだいたんな結論をたてるのだ。そういう結論をいくつもいくつも集めたうえで、それらを組合わせるのだ。すると、そこにこの怪星の正体が、おぼろげながらもだんだんはっきりしてくるのだと思う」
 さすがに世界的な老探検家サ
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