た。それはコンベヤー式になっていて、上ってくるものと下るものとが、左右に並んでいっしょに動いている。扉もない。そしてメリーゴーラウンドの箱車みたいになっている。ちょうどまえにきたときに、その箱車へとびこめばいいのだ。一つの箱に十人ぐらいは乗れる。
 テッド博士とケネデー軍曹が先頭を切って、とびのった。ポオ助教授と帆村と三根夫は、その次の箱車に乗った。エレベーターはずんずん下へおりていく。外は窓がないので、どんな景色になっているのか見えない。
 この道中はかなりながく、十二、三分間もかかった。そしてついにホームのようなところへ箱車ははいった。博士の合図で、みんなホームへとび移った。
「たしかに、これはしっかりした地面のようだがね」
 博士はそういって足許《あしもと》を見ながら足ぶみをした。ホームのむこうに、大きなアーチが見え、そのアーチのむこうには明かるい街並が見えた。みんなはそのほうへ歩いていった。たしかに見事な街路だった。きれいに並んだ商店街。街路樹《がいろじゅ》もゆらいでいる。なんだか狐《きつね》に化《ば》かされたようだ。
「よう、テッド君じゃないか」隊長の肩へ手をかけた者がある。
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