え」
三根夫は、ため息とともにそういった。
「わかりそうなものではないか。宇宙を快速で飛ぶ力のある本艇を捕虜《とりこ》にすることができる『相手』だ。ただ者ではない。もうわかったろう」
「あッ。すると、もしや……」
三根夫はがたがたとふるえだした。
帆村がなにをいっているか、ようやくわかってきた。が、もしそれがほんとうならこれは大変なことだ。
「やっとわかったらしいね」と帆村は青白い顔にかすかな笑みをうかべた。
「ミネ君われわれは本艇とともに、ついに怪星ガンにとらえられたのだ。もはやわれわれは、怪星ガンの捕虜でしかないのだよ」
怪星ガンの捕虜になってしまった! ああ、なんという意外、なんというおそろしさよ。テッド博士以下の救援隊員の運命は、これからどうなるのであろうか。おそるべき怪星ガンの正体は何?
怪星の正体
怪星ガンの捕虜《とりこ》になってしまったというのだ。
これが、日ごろ深く尊敬し信用している帆村荘六のことばであったが、三根夫は、こればかりは、すぐに信用する気になれなかった。
なぜといって、あまりにだしぬけすぎる。とつぜん『怪星ガン』がとびだしてきて、
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