種類か」
テッド隊長は、こまかく気をつかった。
一行はでかけた。
司令艇の側壁《そくへき》の一部が、するすると動きだしたと思うと、それは引戸のように艇の外廓《がいかく》のなかにかくれ、あとに細長い楕円形《だえんけい》の穴がぽっかりとあいた。
するとまもなくその穴から、円板《えんばん》のようなものがとびだした。それは周囲から黄色い光りを放ちまるで南京花火《ナンキンはなび》のようにくるくるまわって、闇をぬって飛んだ。
これは円板式の軽ロケットで、汽船が積んでいるボートにあたるものだ。くるくるまわっているのはその周囲のタービンの羽根のような形をしたところだけで、まん中のかなり厚味のあるところは廻らない。その中にこの円板軽ロケットの乗組員たちや三名の使者がはいっているのだった。
ぱっぱっと黄色い光りの輪のまわるのを見せながら、円板ロケットは大きい弧《こ》をえがいたあとで、調子よくギンネコ号のうしろから近づいていった。ギンネコ号は知らん顔をして飛びつづけている。しばらくの間、円板ロケットはギンネコ号の下に平行になって飛んでいたが、そのうちに円板ロケットからは、ぽんと引力いかり[#「いかり」に傍点]がうちだされた。
それは円板の中央あたりからとびだしたものであるが、樽《たる》のような形をし、うしろに丸い紐《ひも》のようなものをひっぱっていた。
しかしこれを見ると、紐ではなくて伸びちぢみのする螺旋《らせん》はしご[#「はしご」に傍点]であった。その先についている大樽みたいなものは、艇内から送られる電気力によって、相手のギンネコ号の艇壁《ていへき》にぴったり吸いついた。この引力いかり[#「いかり」に傍点]は、すごい吸引力を持っていて、艇内で電気を切らないかぎり、けっして相手から放れはしないという安心のできる宇宙用のいかり[#「いかり」に傍点]であった。
これでギンネコ号は、側壁の扉を開かないわけにゆかなかった。
すると円板ロケットの中から、三人の人影があらわれ、やや横に吹き流れた螺旋《らせん》はしご[#「はしご」に傍点]の中を上へのぼっていった。そしてはしごをのぼりつめると、ギンネコ号の横っ腹にあいた穴の中へもぐりこんでいった。
このありさまは、救援隊の僚艇から集中するサーチライトによって、はっきりと見えた。そしてその三人の人影が、ものものしい宇宙服に身をかた
前へ
次へ
全120ページ中28ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング