るくるごうごうとまわる大小無数の工作機械が、どんどん作りだしていくそのスピードの早いことといったら、目がまわるほどだ。
 これを見ても、ガン人は、地球人類よりもずっと感覚もするどく、能力もすぐれていることがわかる。しかし、そこに作りだされる兵器るいは、いったいどうして、どのように使うものだかさっぱりわけがわからないものが多かった。三根夫は、それについて、いちいちハイロにたずねたく思ったが、あいにくどこにもたくさんのガン人の職工がいるので、三根夫はきくことができなかった。なぜなら、三根夫は頭からガン人の首のつくりものをかぶっているので、これは三根夫が口をひらいても、つくりもののほうは口をあけないから、すぐあやしまれてしまう。
 そのかわり、三根夫は、れいの写真機と、録音機を中にひそませた四角い箱をさかんに活用して、生産されつつある兵器の写真をとり、また職工たちがしゃべっていることばを録音した。
 この広い兵器工場を見終ったときには、三根夫はすっかりくたびれてしまった。それで動く道路のそばにしゃがみこんでハイロに、しばらく休ませてくれといった。


   すごい動力室


 ハイロは笑って、
「それでは、これをたべなさい」と、青い飴玉《あめだま》のようなものを二つ、三根夫の手のひらにのせてくれた。
「これは、なあに」
「くたびれが、一ぺんにとれる薬です」
「それはありがたい。しかしこんなものを頭からすっぽりかぶっているから、たべられやしない。どうしたらいいかしらん」
「ははあン。それなら、わしの身体のかげで、そのかぶりものをぬいで、大急ぎでたべなさい」
「なるほど。それじゃあ頼みますよ」
 三根夫は、ハイロのかげでガン人のお面を脱いだ。せいせいした。青い玉二つを口の中へほうりこみ、それからついでにと思って、お弁当に持ってきたパンをむしゃむしゃ。それから水をがぶがぶ。そして目を白黒しながら大急ぎで、お面をもとのようにすっぽり頭からかぶった。
「三根夫さん。どうです。身体が軽くなったでしょう」
「ああ、ほんとだ。さっきのくたびれが、どこかへいってしまった。よくきく薬だね」
 三根夫は元気をとりもどして、ハイロについて名所見物をつづけた。
「もう一階下にあるところは、この国で一番重要な所なんです。ちょっと見るだけで、がまんしてください。何しろ監視の目が多くて、ひどく光っていま
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