関係のある岩である。
(この岩は、後になって、火星岩と名をかえた。それほど、後になるほど有名になった岩だった)
 その天狗岩で千二の父親が大怪我をしたとは、よくよくつきない縁のある岩である。
 だが、一体千蔵は、どうして怪我をしたのであろうかと、いろいろ考えながら歩いているうちに、ついに千蔵の家の前まで来た。
 たいへんな人だかりであった。村人が、たくさん集っている。みな、心配そうな顔であった。
 新田先生は、人波をわけて、中にはいった。すると、ぷうんと、消毒薬のきついにおいがした。奥には、白いうわっぱりを着たお医者さんが、看護婦相手に病人の手当をしているのが見えた。
「どうもいけない。困ったもんだ」
 と、千蔵を見ているお医者さまが言った。
 新田先生は、玄関に立って、それを聞いていた。
「困りましたわねえ」
 と、そばについている看護婦が言った。
「なんとか気のつく方法は、ないものですかなあ」
 と言ったのは、勝手の方から、氷ぶくろをかえて来た中年の男だった。近所の人らしい。
 新田先生は、そこでしずかに礼をして、はいっていった。先生が名乗をあげると、お医者さんをはじめ次の部屋へつ
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