の父親は大怪我をしたらしい。一体、どうして大怪我などをしたものであろうか。
怪我をしたればこそ千蔵は、千二のことも知らないし、東京へ駈けつけもしないでいるのだ。
千二は、しきりに父親のことを心配していたが、やはり、それはとりこし苦労ではなく、ほんとのことだった。
「もしもし、千蔵さんがどうかしたのですか」
新田先生は、一人の青年団服の男に声をかけた。その男は、けげんな顔をして、新田先生の顔をながめていたが、
「大怪我をしたんですよ。今うちで、うんうんうなっていますよ」
「ああ、そうですか。どうしてまた、そんな大怪我をしたんですか」
青年団服の男は、目をぱちくりして、
「へえ、あなたは何も知らないんですね。第一、なぜこのような人出がしているんだか、知らないのでしょう」
「ええ、何にも知りません。しかし、私は千蔵さんのところへ用があって、これから、いく者なのです」
「ははあ、なるほど。では、親類の方ですね」と、かの青年は、ひとり合点をして、「それなら話してあげましよう。千蔵さんは、ゆうべ火柱《ひばしら》にひっかけられて、大怪我をしたのですよ」
「えっ、火柱ですか? 火柱というと……
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