あえず、千二少年の留置されている警視庁へ駈けつけた。
「何の用ですかね」
と、受附の警官はたずねた。
そこで先生は、じつは、これこれしかじかと、千二少年のことをのべ、あの少年は自分のいい生徒だったから、殺人事件を一しょにやるような悪い子供ではない、ぜひ許してやっていただきたいと、まごころを面《おもて》にあらわして言った。
受附の警官は、たいへんいい人であった。新田先生の話に、すっかり同情して、
「そうですか。そういうことなら、誰よりもまず捜査課長の大江山警視にあって、よく話をしたらいいでしょう。ちょっとお待ちなさい。今会えるかどうか、私が聞いてあげましょう」
と言って、親切にも、他の来訪客を待たせておいて、大江山課長へ話をしてくれた。
その口添がきいたのか、課長は、すぐ新田先生に会ってくれることになった。
先生が、みちびかれてはいったのは、応接室ともちがう小さな部屋だった。壁は防音材料で出来、となりへ話が洩れないようになっていた。その壁に、一枚の鏡がかかっているのが、どうもこの部屋に似合わしからぬものだったが、これは、この部屋からみると鏡としか見えないが、隣室から見るとこの
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