が……」
 千二は足にまかせてどんどん走った。
 わずかの心おぼえが、彼をうまくみちびいて、どうやら元の海岸が見えだしたときには、おどりあがってよろこんだ。
「ああ、よかった」
 千二はカリン岬を前にして、海岸に立ってあたりを見まわした。
「おや、博士は? 先生は? どこへいったか、まだ見えない」
 浜はがらんとしていた。
 博士のすがたも見えなければ、新田先生もいない。そればかりか、大空艇さえ見えないのであった。
「先生! 博士!」
 千二は大きなこえをだして、いくどもよんでみた。
 だが、千二のこえは、こだまとなって、かえって来るばかり。
 千二はちょっとよわった。
「どうしたらいいだろう」
 そのとき、千二のあたまに思いうかんだことがあった。このカリン岬の下に、秘密の洞窟があることを思い出したのであった。
「ひょっとすると、博士たちは、そこにいるのではなかろうか」
 そう思った千二は、なんとかしてそこへはいってみようと思い、洞窟への入口をさがしはじめた。
 カリン岬の下の洞窟へは、どこから、はいったらいいのであろうか。
 千二少年は、岩山のあたりをあっちこっちとさがしまわった。だ
前へ 次へ
全636ページ中615ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング