丸木はそう言って、手をあげて、あいずをした。
「おい、みんなかかれ」
 丸木のあいずで、彼のうしろに、ぎょろぎょろと目をひからせていた火星兵は、にわかに、うごきだした。
「なにをぐずぐずしている。早くかかれと言うのに……」
 丸木は部下を、しかりつけた。
 火星兵は、かねがねこの蟻田博士の手なみを知っているし、それに地球へいって、人間からひどい目にあっているところだから、少々しりごみをしていたところであった。しかし丸木に、しかりつけられては、もうしりごみをしておられない。
 ひゅう、ひゅう、ひゆう、ひゅう。
 ぷく、ぷく、ぷく、ぷく。
 火星兵は、へんな声をあげて博士たちにせまって来た。
 そこで博士は大声でしかりとばした。
「来るか。来るならいつでも、あいてになってやるぞ。おい、新田、千二、ふき矢をふけ」
 新田先生と千二は、さっきから、ふき矢をもって、いつ命令がくだるかと待っていたところだから、すぐさま例の酸素かぶとの下にある口にあてて、ぴゅう、ぴゅう、ぴゅうと矢をふきだした。
 そのとき、博士が言った。
「丸木は、わしがひき受けた。丸木にはあてないがいいぞ。ほかの火星兵はみんなや
前へ 次へ
全636ページ中595ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング