ますぞ」
 と、博士は、ロロ公爵とルル公爵の手をにぎってはげました。
 いつも無口のルル公爵も、
「蟻田博士、ご恩のほどはわすれません。たとえ、これでうち死しましても、私はもう思いのこすことがありません」
 と、かんげきの言葉で、あいさつをした。
「あなたは、からだがよわいのだから、くれぐれも気をつけて下さい」
 博士の言葉は、みじかいうちにも、あたたかい情心《なさけごころ》がこもっていた。
「じゃあ、新田先生も千二君も、さようなら」
「どうぞ、しっかりやって下さい」
「ロロ公爵、ルル公爵、ばんざあい」
「ありがとう、ありがとう」
 二人の公爵は、思出多い大空艇からたち出でた。足の下にふんだのは、ひさかたぶりの火星の大地であった。
「じゃあ、いって来ます」
「いってらっしゃい、お元気で……」
 二人の公爵は、ついにくらやみの中にすがたをけしてしまった。大空艇の中には、今はもう地球から来た蟻田博士と新田先生と、そうして千二との三人きりとなってしまった。
「博士、これからあの二人の公爵は、どうするのですか」
 と、先生がたずねると、博士は、
「いよいよ旗あげをするのだ。二人はペペ山へ、いっ
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