令したら、その盤の上にかいてある数字を見ながら、左へまわしてくれ」
「はい、わかりました。このハンドルをうごかすと、どうなります」
「それは、いよいよ火星へ上陸した時、この大空艇の扉をあけるためだ。扉をうまくあけないと、大空艇の内部と外部との空気の圧力がちがうから、大事な機械がこわれるおそれがあるからだ。だから、わしの言うとおり、うまくハンドルをうごかしてくれ」
「はい、わかりました。どうぞ……」
 博士は操縦席について、しきりに計器類のおもてを見まわしながら、たくみにスイッチを切ったり、目盛盤をうごかしていたが、大空艇はだんだんと速度をゆるめ、ふわりふわりと、しずかに下へおりていくのであった。
 白く光るのは、海面であろうか。そうして、その中に、象の鼻のように、ながくのびている、くろいものがある。それこそカリン岬であった。
「おい新田、はじめるぞ。用意はいいか」
「はい、大丈夫です」
 大空艇は、そのあいだにも、どんどんさがっていた。大地だ。まっくろな大地であった。その大地が、もり上って来る。
 そのうちに機関は、ぱったり止った。大空艇はたくみな滑走をつづけながら、岬の上を低くとんで
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