いことですね。僕もそうなる日を祈っています」
 日本語がよくわかる二人の公爵は、それを聞いて大変喜んだ。
「まあ、見ていて下さい。僕たちはやりますよ。そうして火星を、りっぱな国にしたいと思っているのです。今までの火星は、文化こそ進んでいるが実に恐しい国です。悪いことをする者がえらいのだと考えている。早く言えば、丸木などは、どろぼうをするために、地球へ攻めていったようなものですからね」
 大空艇は、針路を左へ曲げた。
 火星の大地は、それとあべこべに右へまわっていく。
 しばらくすると、火星の端が、黒くふちをとったように、見えはじめた。それは火星の夜の部分であった。
 大空艇は、どんどん左へまわる。
 火星の表面から、明かるい部分が、どんどん小さくなる。そうして、やがて、全く暗くなった。
「このへんでいいだろう。消音装置を働かして下りていこう」
 蟻田博士は、目盛盤のつまみを動かした。すると、大空艇は、ほとんど垂直に下りはじめた。
「わざわざ暗いところへ、下りるのですか」
 と、千二が、博士に尋ねた。
「それはそうだ。明かるいところを下りていくと、丸木たちがうるさいからね」
「では、火星
前へ 次へ
全636ページ中576ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング