の中へ、おちこんだような気がしたからである。
まっくらなんて、嫌なものである。大空艇の外は、なんにも見えない。
「さっきまで見えていた火星が、急に見えなくなるなんて、へんだなあ。火星に近づいたから、もっと見えなければならないわけだがなあ」
千二は、顔をしかめている。
「それはね、土けむりの中に、はいっていると向こうが見えないが、土けむりの外からだと、土けむりをとおして、向こうが見えるのと同じだよ」
「へえ、そうですか」
「だから、いまに火星塵を通りぬけると明かるくなる。火星の表面がはっきり見えるようになる」
「そうですかね」
と言っているうちに、あたりは急に明かるくなったような気がした。
「あっ、火星がまた見えだした。ああ、きれいだなあ」
千二は、驚きと喜びとが一しょになった。
火星は、もう大きな鏡のようになり、そうして、まぶしいほど明かるかった。それは火星塵を通り越したからであった。始めて、すきとおった空をとおして、火星を見るのであった。
ああ火星のすがた!
火星は、地球と同じように海らしいものもあるし、また陸のようなところもあった。ただ不思議なのは、真白に光る、かなり
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