先生もおなじようなことを言った。
 そのうちに、どうしたわけか、あたりが急に暗くなった。
「おや、暗くなったぞ」
 千二少年は、ガラスが、どうかしたのかと思って、服の袖でしきりにガラスをふいた。
 だが、そんなことは、一向ききめがなく、だんだんと暗さがました。
「おやおや、火星が見えなくなってしまった。いままで、あのように美しくかがやいていた火星が、急にすがたを、けしてしまった。先生、これは一体どうしたわけですか」
 すると、新田先生は、しずかにうなずき、
「千二君。窓ガラスをよく見たまえ」
「え、窓ガラスですか」
「ガラスの上に、何か見えないかね」
「さあ。――」
 と言ったが、千二が見ると、外からガラスの上を、なんだか黒い粉のようなものが、ふきつけている。
「ああ、この黒い粉みたいなものは、何でしょう」
「わかったかね。それは火星塵だ。つまり、火星のまわりを、こまかい塵の層がつつんでいるのだ。それを火星塵の層といっているが、いまわれわれは、その塵の層のまん中に、はいったのだよ。だから、まっ暗なんだ」
「ああ、そうですか」
 千二は、なんだか、たいへん心ぼそくなった。まっ暗な井戸
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