した。そういう仕掛のあることを知らないと、まるで魔術をみているようですね」
「そうだ。科学知識のない人や、勉強の足りない人は、なんでも魔術だと思うのだよ。百年も前に死んだ人を、今の世の中に、もう一度息をふきかえさせてみると、この大空艇などはもちろんのこと、ロケットでも飛行機でもテレビジョンでも、みんな魔術としか、見えないだろう」
と、蟻田博士は、しみじみ言った。
その間に、ごちそうは、順番に、みんなの前に並んだ。あとからあとへと、いろいろなごちそうが、穴の中から、せりあがってきた。いずれもみな深い器の中にはいっていた。これは大空艇が、ときどき左右にゆれるせいであった。
「さあ、始めましょう。ではロロ公爵とルル公爵の御健康を祝して、乾杯します。おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとうございます」
「ありがとうございます」
一同は、杯をあげた。
そのとき、ロロ公爵が立ちあがり、
「ちょっと、ごあいさついたします。わたくしと弟ルルとは、すでに命のあやういところを、蟻田博士に、助けていただき、地球へつれてこられました。それからこっち、五年という長い月日を、いろいろと力づけてくださった
前へ
次へ
全636ページ中549ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング