明かるいのだ。空気のないところでは、太陽の光がちらばらないから、空は暗く見えるのだ」
61[#「61」は縦中横] 火星行《かせいこう》
新田先生が、千二少年に、成層圏のはなしをしている間に、大空艇は、どんどんすすんで、あたりは、いよいよ暗さをくわえていった。空気が、いよいようすくなったのである。
先生は、千二少年のため、はなしをしてやるのに、つい夢中になっていたが、このとき、はっと気がつき、操縦席にいる蟻田博士の方を、ふりかえった。
博士は、じっと映写幕をみつめていた。博士の手は、いつの間にか、操縦桿を放れていた。再び自動操縦に戻っていたのである。
「博士、丸木艇はどうしましたですか」
先生は、それをたずねた。
「丸木艇は、さかんに逃げていくわい」
「逃げていきますか。どこへいくのでしょうか」
「さあ、今のところでは、なんともわからないが、多分、火星へ戻るかもしれないよ。君は無電を注意していてくれ」
「はい。どこの無電を……」
「丸木艇が、やがて、火星と通信するかもしれない。それを、こっちでも、ききとってくれ。何か、参考になることがあろうからなあ」
「はい、わかり
前へ
次へ
全636ページ中526ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング