である。そうして博士は、そのことを、世の人々に、それとなく注意したのであるが、だれもそれに耳をかす者がいなかった。やむなく博士は、他人をたのみにせず、自分ひとりで外敵にあたろうと、決心したのであった。
 博士のながいあいだの苦労が、今ここに実をむすんで、うまく外敵をけちらすか、それとも、外敵のため、博士も、他の人間とおなじように、こっぴどくやっつけられるか、二つのうちの一つが、今きまるところなのだ。
 たまたま、新田先生と千二少年とは、はからずも、博士をたすけることになった。それは、そのようになったともおもわれるが、しかし、よくかんがえてみると、それは、おもいがけない出来ごとではなかった。
 なぜならば、新田先生は蟻田博士の門下であり、千二少年は、新田先生の生徒であった。博士からいうと、新田先生は、弟子であり、千二は孫弟子にあたるわけだ。師弟のえんは、このように、ふかいのであった。
 なんとかして、蟻田博士隊に、凱歌《がいか》をあげさせたいが、はたして、うまくいくか、どうか。火星兵団長丸木は、今や、かんかんにおこって、全宇宙艇をひっさげ、ただ一台の大空艇めがけて、おそいかかったのである
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