火星まで乗って帰る宇宙艇が、全滅してしまいます」
 参謀の声は恐しさにふるえていた。
「うーん、こいつはよわった。敵のやつ、蒸発ガスを砲弾にこめて砲撃して来たんだな。こっちにゆだんがあった。おい、逃出すことよりは、敵の砲兵陣地を探しあてることだ。早くいって、この砲弾を撃出している陣地を探して来い」
「敵の砲兵陣地ですか。へーい」
 一度言出したら引かない丸木だった。それを心得ているから、参謀の一人は駈出していった。観測台のある宇宙艇のところへいって、人間隊の砲兵陣地を探させるためだった。
「参謀、よくわかりません。山のかげになっていて、陣地など見えはしません」
「そうか、山のかげになっとるか。それは困ったなあ。なんとかして知る方法はないか」
「さあ、困りましたな」
 火星兵団は、めずらしく負け色である。
 観測台のある宇宙艇の下で、参謀と観測兵とが押問答をしている時、ばたばたと音がして、また二名の火星人がかけつけて来た。
「おい、兵団長が返事を待っておられるではないか。どうしたんだ。人間隊の砲兵陣地がある場所は?」
「おい、早くしろということだ。ぐずぐずしているから、また宇宙艇が三隻ば
前へ 次へ
全636ページ中487ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング