ない出来事にあって、その場に茫然と立っていた。気をのまれたかたちである。
弾丸が腹に命中したその火星人は、
(おや、へんだぞ!)
というような身ぶりをして、黄いろいけむりがたちのぼる自分の腹を、触手でしきりに撫でまわしていた。この火星人こそ、大江山課長をやっつけた火星人だったのだ。
そのうちに、ひどく大きな音で、
しゅうっ!
と、へんな音がした。
とたんに、その火星人の体は、ふらふらと前後にゆれたかと思うと、積重ねてあった樽をたおすように、どすんと横たおしに、たおれてしまった。
それを見て、他の火星人はまたびっくりしなおしたらしかった。彼らは、たおれた火星人のそばへ駈けよった。
すると彼らは、そこで不思議な有様を見た。それはたおれた火星人の大きを腹の上から、黒いけむりがもやもやと盛に立ちのぼりつつ広がっていくと見ているうちに、あの丈夫なドラム缶のような胴が、どんどん湯気のように蒸発していって、やがてその下から、みにくい火星人の体が、小さくちぢこまって、あらわれたのであった。
胴が蒸発して、なくなってしまったのである。さあたいへんである。どうしてこうなったのか、訳がわか
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