衣裳をつけて、火星人に化けるのだ。ほら、ここにある」
と、博士は別の衣裳を先生の方にさし出した。
「ああ、そうでしたか。いや、よくわかりました。これはどうも、わたしがのぼせ上っていて大失敗をしました。あははは」
と、先生は師の前で頭をかいたことであった。
博士と新田先生とは、穴から外へ出た。外は、まっくらであった。
「おい、新田。ちょうどいい。いっしょに下の方へ下りていってみよう。赤羽橋あたりへ出れば、火星人に出会うかも知れない」
「はい」
先生は、博士と並んで歩き出した。月が空にかかっていて、二人の影を地上にはっきりうつした。
また別の方からは、モロー彗星が強い光を放って、二人に別の影をつけていた。先生は、火星人そっくりの自分の姿を見て、苦笑いをした。
54[#「54」は縦中横] 危機せまる
ガスピストルを持っての初試験だ。
蟻田博士と新田先生とは、火星兵団の者そっくりの姿をして、深夜の町をそろそろと赤羽橋の方へ歩いていった。
町は、死んだように静かであった。
「博士、町は、たいへん静かですよ。この様子では、火星人は、引上げていったのかも知れません」
「
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