これではせっかく蟻田博士の発明した十号ガスも、さっぱり威力がないのだとわかると、先生はがっかりしてしまった。
「おい新田、お前はひどいことをするじゃないか」
と、ガスの中から、火星人はおかしそうに言った。その声を聞いて、先生はおやっと思った。その声は、たしかに聞きぼおえがある!
「はてな?」
と、先生は言った。
「はてなも何もないよ。わしじゃないか」
と、黄いろいガスの中から出て来たのは、外ならぬ蟻田博士の顔だった。
「ああ、博士。やっぱり博士だったのですか」
「そうだ、わしだよ」
「でも、わたしは、たしかに火星人の姿を見かけたのですが……」
「わははは、まだまじめくさって、そんなことを言っているのか。あれはわしじゃよ。火星人の姿をしていただけじゃ。ほら、ここに衣裳があるのだ」
と、博士は、黒いマントや黒い帽子を手でさし上げた。
「どうしたのですか、博士。なぜ火星人の姿などをなさるのですか」
「お前もずいぶん血のめぐりの悪い男だなあ。火星兵団のそばへいくには、こっちもやはり火星人の姿をしていかなくちゃ、向こうはゆだんをしないではないか」
「なるほど」
「さあ、お前も早くこの
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